20センチュリー・ウーマン 2016年
再生時間:118分
20センチュリー・ウーマンについて
『人生はビギナーズ』などのマイク・ミルズ監督が、自身の母親をテーマに撮ったヒューマンドラマ。1970年代末の南カリフォルニアを舞台に、3人の女性とのさまざまな経験を経て大人へと成長していく少年のひと夏を描く。思春期を迎えた息子を持つシングルマザーを『キッズ・オールライト』などのアネット・ベニングが演じるほか、『フランシス・ハ』などのグレタ・ガーウィグ、『SOMEWHERE』などのエル・ファニングらが共演。
ここ2〜3年に公開された忘れがたい映画のひとつに、マイク・ミルズ監督の『20センチュリー・ウーマン』があります。1966年生まれのミルズが自らの青春時代と亡き母親の思い出をもとに監督・脚本を手がけた半自伝的作品ということで、舞台は1979年のカリフォルニア州サンタバーバラ。15歳の少年ジェイミーが世代の異なる3人の女性たちと過ごした夏の物語です。ベトナム戦争が終結して徴兵制も廃止され、“政治の季節”は次第に退潮し、高度消費社会のライフスタイルが当然のものとして世に浸透する70年代の終わり、ジェイミーはスケートボードやパンク/ポストパンクのバンドに熱中する日々を過ごしています。
映画『20センチュリー・ウーマン』とモダニティの夢──野中モモの「モダン・ウーマンをさがして」第1回 | GQ Japan
キャスト・スタッフ
- (ドロシア)アネット・ベニング
- (ジュリー)エル・ファニング
- (アビー)グレタ・ガーウィグ
- (ジェイミー)ルーカス・ジェイド・ズマン
- (ウィリアム)ビリー・クラダップ
- 監督 マイク・ミルズ
- 音楽 ロジャー・ニール
- 脚本 マイク・ミルズ
マイク・ミルズ監督
作品一覧
2005年 サムサッカー
2007年 マイク・ミルズのうつの話
2010年 人生はビギナーズ
2016年 20センチュリー・ウーマン
マイク・ミルズについて
思い返せば、筆者がマイク・ミルズの名前をはじめて認識したのは確かもう20年以上前、ビースティ・ボーイズやチボ・マットのレコードジャケットや、ソニック・ユースのキム・ゴードンらが立ち上げたブランド「X-GIRL」のロゴなんかをデザインした人としてでした。
そんなふうに90年代からグラフィックデザインや音楽PV・CMの分野で活躍していた彼は、2005年に『サムサッカー』で長編映画に進出。また日本でも人気の高い作家/アーティスト、ミランダ・ジュライとのあいだに一児をもうけています。
その経歴はあまりにもおしゃれすぎて素直にあこがれるのもなんだかシャクなほどだけれど、『20センチュリー・ウーマン』には、やっぱり突き抜けておしゃれな人はひと味違うな! と、しみじみ感服してしまいました。
スケートボードやパンクを愛しながらもそこに内在するマッチョイズムの害に気づくことができ、女性を見下すことなく、過度に崇めることもなく、人としてごく自然に友達づきあいができる男性なのだろうな、と。
映画『20センチュリー・ウーマン』とモダニティの夢──野中モモの「モダン・ウーマンをさがして」第1回 | GQ Japan
20センチュリー・ウーマン
あらすじ
舞台は1979年のサンタバーバラ郊外。アネット・ベニング演じるドロシアは、下宿屋を営むシングルマザーだ。ドロシアの下宿には、スケボー好きでますます母親の手に負えなくなる息子のジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)、さまよえるブルーカラーの男・ウィリアム(ビリー・クラダップ)、子宮頸がんであることがわかったばかりのパンク好きの写真家アビー(グレタ・ガーウィグ)が住んでいる。
そして、ドロシアがジェイミーと心を通わすことができないと気づいたとき、彼女はアビーと、近所に住む早くも人生に疲れたティーンエイジャーのジュリー(エル・ファニング)を選び、息子の思春期を支えてくれるように頼む。
ストーリーと解説
※ネタバレあり
シングルマザーのドロシア(アネット・ベニング)と高校生の息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)、その家に間借りするおじさんウィリアム(ビリー・クラダップ)と20代のアビー(グレタ・ガーウィグ)。
ジュリーはジェイミーの幼馴染で2人は恋人関係ではないが、友人として仲が良く、ジュリーは家によく遊びに来ている。
取り巻く女性たちが皆でジェイミーを良い男に育てようとしたり、一方でジェイミーに頼ったり。複数の違う女性に囲まれて育つジェイミーは、女性に上手に寄り添える男に育ちそうな予感。
主人公のドロシアは1924年生まれで1999年に亡くなった、がっつり20世紀を生きた女性である。登場人物5人の日常とトラブルを淡々と描く作品。大きな展開はないが、マイク・ミルズ監督が脚本・監督をつとめているので、セリフが良い。登場人物たちの会話を楽しむ映画。
20センチュリー・ウーマン
印象に残るセリフ(名言)
- 幸せかどうかなんて考えたら、鬱になる
- 恋に落ちることは美化されすぎている
- 男は大抵解決に躍起になるか、何もしない。解決できないときに寄り添うってことが下手なのよね。
- 強さがあればあらゆる感情に耐えられる。
- 男友達のセックス話には、もし違うと思っても合わせておいたほうがいいよ。男は否定されるのが嫌いで幻想を好むから。
- 確かなのは人生は予想と違うものになるってこと
- ”父さんと愛し合ってた?”(の質問に対し、母親ドロシアは)もちろん、と言うより「愛し合うべき」と思っていたのかも。一生誰かと愛し合えないことが怖かった。それで当時、最善の道を選んだ。
個人的評価
映画の満足度★★★★☆
感想・レビュー
脚本を書いたマイク・ミルズ監督は1966年生まれ。この世代でこれだけ女性に寄り添える脚本が書けるのも、彼の母親の影響が大きいのだろう。上にあげた以外にも、印象に残るセリフがたくさん出てくるので、たくさんの人に観てほしい作品。