美しすぎる母 2007年
再生時間:97分
美しすぎる母
解説
実際に起こった息子による母親殺害事件を映画化し、カンヌ国際映画祭などで話題となった衝撃作。監督は『恍惚』で禁断の愛と狂気の行方を描いたトム・ケイリン。持ち前の美ぼうで大富豪夫人となるものの、息子によって殺害されるという主人公バーバラを『エデンより彼方に』のジュリアン・ムーアが演じる。息子役は『グッド・シェパード』のエディ・レッドメイン。官能的なタッチとショッキングな結末、さらには役者たちの熱演に注目だ。
キャスト・スタッフ
- (バーバラ・ベークランド)ジュリアン・ムーア
- (ブルックス・ベークランド)スティーヴン・ディレイン
- (アントニー・ベークランド)エディ・レッドメイン
- (ブランカ)エレナ・アナヤ
- (ブラック・ジェイク)ウナクス・ウガルデ
- (ピラール・デュラン)ベレン・ルエダ
- (サム・グリーン)ヒュー・ダンシー
- 監督 トム・ケイリン
美しすぎる母
あらすじ
実際にあった衝撃的事件をジュリアン・ムーア主演で映画化
貧しい家庭で育ったバーバラは、大富豪・ベークランド家の跡継ぎであるブルックスと結婚し、ひとり息子・アントニーと共に幸せな日々を送っていた。数年後、夫の不倫が原因で離婚したバーバラは、アントニーと2人でさまざまな国を渡り歩くのだが…。
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登場人物
バーバラ・ベークランド
(ジュリアン・ムーア)
貧しい家庭に生まれたが、美貌を武器に大富豪のブルックスと結婚し、上流階級の仲間入りを果たす。しかし、フランス語は話せないし、知性も教養もなく俗っぽい。ただ明るい性格と社交性で周囲を魅了するとともに、突如人前でキレたりする性格。
ブルックス・ベークランド
(スティーヴン・ディレイン)
バーバラの夫。祖父から受け継いだ財産で悠々自適の生活。無教養で俗っぽいバーバラをバカにしている。
アントニー・ベークランド
(エディ・レッドメイン)
通称トニー。バーバラとブルックスの息子。溺愛する母親と無関心の父親の機能不全の家庭で育ったため、精神的に不安定。バイセクシャル。
ブランカ
(エレナ・アナヤ)
バーバラの一家がスペインに住んでいた時に、トニーが海岸で出会った若い女性。最初はトニーと付き合うが、のちに父親ブルックスに乗り換え、ブルックスと共に生活している。
サミー
(ヒュー・ダンシー)
裕福な女性のパートナーとして振舞ったり、社交界で上手く泳ぎ回るためのコンサルティングも行う。バイセクシャル。
ストーリーと解説
※ネタバレあり
1967年スペイン カダケスにて
バーバラ、ブルックス、トニーの一家でアメリカから移り住む。ある日、海岸でゲイの恋人ジェイクと遊んでいたトニーは、若く美しいブランカと出会う。トニーはブランカを家族に紹介し、トニーとブランカは恋人関係に。ブランカはトニーがバイセクシャルであることは最初から知っていたと思われる。
1968年スペイン マジョルカ島にて
トニーの恋人だったブランカは、トニーから父親のブルックスに乗り換え、ブルックスとブランカは一緒に住むようになる。
バーバラが空港にコンサルタント(というか裕福な女性相手のジゴロ)サミーを迎えに行ったところ、ブランカとブルックスを見つけ、ブルックスを人前でなじる。「火遊びするには老け過ぎよ」と捨て台詞を残して、バーバラは立ち去る。
そして、バーバラは空港で拾ったタクシーの運転手とホテルへ。タクシーから降りてから情けなくて泣きだすバーバラ。その後、到着したサミーとバーバラの社交界復帰の計画を立てる。
トニーとサミー
トミーもサミーもバイセクシャル。ある時サミーはトミーに「君はバーバラとジェイクの面倒を見ている。君の面倒は誰が見るんだ?」と言い、心を打たれたトミーはサミーが寝ているベッドに潜り込む。バーバラはこの2人の仲を反対している。
トニーとブルックス
トニーは父ブルックスに戻ってくるように手紙を書き、ブルックスとブランカが住んでいる家に行くものの、直接渡すことができず、なぜか花壇の土の中に手紙を埋める。その様子を見ているものの、息子から隠れるブルックス。その様子を見かねたブランカがトニーを追いかけるが、トニーは立ち去る。ブランカがトニーの手紙を花壇から拾いあげる。
バーバラとサミーとトニー
バーバラとサミーがセックスをし、2人がベッドで寝ていることを見つけたトニーは自分もベッドに入り、3人で昼寝をする。目覚めた3人はその状況に大笑いをはじめ、そして3Pへ。そして、サミーがバーバラたちの家を潮時だと言って去る。
1968年パリにて
バーバラが睡眠薬の座薬を大量に入れ、手首を切って自殺未遂をする。トニーが発見し、病院に運ばれるバーバラ。トニーは父ブルックスに「ママの世話はあんたの仕事。あんたが放棄して、僕が相続することになった」と手紙を書く。トニーはブルックスが家族の元に戻ることを望んだが、父親は無視し続けた。
1972年ロンドンにて
絵を描くことを再開し、個展を開くことになったバーバラ。その後のパーティーの話し合いをしに外出から帰ってきたところ、部屋に座っているトニー。
トニーは上質な服を作るテイラーで作った服を着ており、その美しい生地をバーバラが撫でていると欲情してしまう母親と息子。そのままセックスしてしまう。
ことが終わった後、自分が昔飼っていた犬の首輪がないと子供の用に騒ぎだすトニー。バーバラにも探させ、自分がキッチンを探していると食器棚の奥で首輪を見つける。それをバーバラが隠したと思ったトニーは犬の首輪を持って、指をくわえて床に座り込んでいる。
そこから口論になる母と息子。トニーは突如、ナイフをバーバラの腹に刺す。倒れるバーバラ。トニーは警察に電話をし、その後中華料理店に電話して出前を頼む。母親の死体を前に、配達された中華料理を食べているトニーを警察官が発見する。
刑務所に行ったトニーは父ブルックスに「僕は今でも世界の誰よりもママを愛している。また皆で暮らせたら…」「頭の中がいっぱいで死ぬほど苦しい。でも、今は前よりずっと気分がいい。肩の重荷が取れたよう」と手紙を書く。
トニーのその後
心身衰弱状態での殺人で有罪。精神医療刑務所に収容された。1980年に釈放されてアメリカに戻り、バーバラの母ニニに引き取られたが、1週間たたないうちに、口論の挙句、ニニをナイフで刺した。祖母は一命を取り留めたが、トニーは再度、逮捕されライカーズ島に送られた。1981年、その島でトニーは自殺。
モデルとなった一家
レオ・べークランド
トニーの祖父、レオ・べークランドはベルギー生まれの科学者で発明家。大学卒業後にアメリカに移住。合成樹脂「ベークライト」を発明、工業化に成功し、「プラスチックの父」とよばれる。プラスチックの他にも印画紙、ペンキの原料等を発明、開発した。
バーバラ・デイリー・ベークランド
バーバラは同性愛者または両性愛者であった息子のアントニーと近親相姦をした。彼女は売春婦を雇って息子を「転向」させようとしたが失敗し、夫と離婚した後に、自らが息子とセックスをした。彼女はロンドンの自宅で、息子アントニーによって食器のナイフで刺され、ほぼ即死した。アントニーは現場で逮捕され、殺人罪で告発された。彼は1981年3月20日にビニール袋を被って自殺した。バーバラの人生は2007年の映画『美しすぎる母』のモデルとなり、ジュリアン・ムーアによって演じられた。
個人的評価
映画の満足度★★★☆☆
感想・レビュー
息子が、母親とソーシャルクライマーな母親から逃げた父親の犠牲となったようで悲しい。母親が問題なのはもちろんだが、その母親が面倒だから息子に押し付ける父親も最悪。2人の負のパワーを息子が一身に受けてしまったよう。