海辺の家 2001年
再生時間:125分
あらすじ・考察
※ネタバレあり
仕事をクビになり、癌発覚
建築事務所で建築模型を制作する仕事をしているジョージ(ケヴィン・クライン)はある日、20年続けた仕事をクビになる。最近はCGが主流になり、建築模型は不必要との理由で。腹を立てたジョージは自分が作って来た建築模型を破壊し、オフィスを出たところで倒れてしまう。
救急車で運ばれたジョージは癌で余命4か月であることを知る。
息子サムの問題
ジョージはバツイチで、離婚した妻ロビン(クリスティン・スコット・トーマス)とサム(ヘイデン・クリステンセン)は近所にロビンが再婚した夫と暮らしている。サムは顔にピアスをし、メイクをし、マリファナを吸って鬱々とした毎日を過ごしている。母親や義父とも口を利かず、部屋に鍵をかけて閉じこもっている問題児サム。
家族再生
ジョージはそんなサムを夏休みの間、無理やり自分の家に連れて行き、一緒に家を建てることにする。最初は反発していたサムだったが、日を追うにつれ、メイクをやめ、顔のピアスをはずし、ジョージと一緒に家づくりに励むように。
ロビンも再婚した夫との子供2人を連れて、毎日ジョージの家づくりを手伝いにやってくる。
ジョージとロビンもいがみ合っていた過去を忘れ、本当は2人はお互い愛し合っていたことを知る。そんなロビンの様子を察知した夫ピーターは、ある日、家を出て行ってしまう。
ジョージの父親の問題
ジョージの父親は母親に暴力を振るDV男で、ある日、母親を助手席に乗せて飲酒運転をして、対向車と衝突。この事故でジョージの両親と対向車を運転していた母親が死亡。対向車の後部座席に乗っていた少女は、父親が行方不明の上、母親を失い、孤児となってしまった。
ジョージは自分の父親が幼い少女の人生を変えてしまったことを申し訳なく思っており、ある夜、このことをサムに話す。
サム、ジョージの病気のことを知る
ジョージの病状は徐々に悪化し、異変に気付いていたサムが問い詰めると、自分は癌でもうすぐ死ぬから、この夏はサムと過ごしたかったと白状する。それを聞いたサムは、今までほったらかしにしておいて、死ぬとわかったら、自分のために僕を利用したと怒り、ジョージの家を出て、隣に住む同級生の家に籠ってしまう。
ジョージ、入院そして死亡
一方、元妻ロビンもジョージから病気のことを聞き、ショックを受けていた。ある朝、ジョージが作業に出て来なかったため、ロビンがジョージの様子を見に行くと、床にジョージが倒れており、ジョージは病院に運ばれることに。
最初は腹を立てていたサムも気持ちを入れ替えて、ジョージのお見舞いに行く。そして、9割ほど出来上がった家を電飾でデコレーションし、病院の窓からジョージに見せる。
ロビンはジョージにつきっきりで最期の時を一緒に過ごす。そして、ジョージは死亡。
ジョージの家が完成
家を出て行ったロビンの夫ピーターも家に戻り、皆でジョージの家の完成させる。
ジョージは出来上がった家をサムに遺したが、サムは「本当はパパもそうして欲しいと思っているはず」と言い、出来上がった家を、トレーラーハウスに住んでいるジョージの父親が起こした事故の被害者の少女に贈与した。
個人的評価
映画の満足度★★★★☆
感想・レビュー
死期を悟ると急に人間は動き出す。平常時からやっておけばいいのに、なぜか健康を損なってから家族再生を始める。
この映画も、最初は父親のエゴで始めた家づくりだったが、結果的にやさぐれていたサムは心を入れ替えて改心し、ロビンの今の家族も巻き込んで、皆に良い流れが出来たという良い話。皆で何かを作ったり、作業をすると、会話が生まれて物事が良い方向に進んで行くというよくある話ではあるが、全体的にとても良い映画。
繊細な少年サムを演じたヘイデン・クリステンセンがとても良い感じで泣かせて来る。
ケヴィン・クラインとクリスティン・スコット・トーマスは2014年公開の「パリ3区の遺産相続人」でも共演。この2人の組み合わせの映画はハズレがない。
海辺の家
解説
42歳の建築デザイナーが余命4カ月と宣告され、離婚した妻のもとで暮らし、父に反感を持つ16歳の息子とともに、父の住んでいた家を建て直そうと決意する。ふたりは親子の絆を回復することができるのか。監督は「ロッキー」などの製作を経て「真実の瞬間」で監督デビューしたアーウィン・ウィンクラー。脚本は「恋愛小説家」のマーク・アンドラス。撮影は「ディア・ハンター」などのベテラン、ビルモス・ジグモント。