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【映画のあらすじ l 解説 l 考察 l ネタバレ l 感想 l レビュー】

『リトル・ミス・サンシャイン』は「やっぱ家族っていいよね」と観客に言わせることだけを目的とした映画【ネタバレあり】

リトル・ミス・サンシャイン 2006年

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再生時間:102

キャスト・スタッフ
受賞について

アカデミー賞 助演男優賞受賞

アラン・アーキン(グランパ役)

アカデミー賞 脚本賞受賞

登場人物

リチャード
自分も負け組だが、自らが作った自己啓発プログラムで人生一発逆転を狙っている。会話の中で何かと、勝ち組・負け組の話を出す。

シェリ
リチャードの妻。いいお母さん。ただ、ストレスがたまると煙草を吸ってしまう。

フランク
シェリルの兄。自分ではアメリカで一番のプルーストの研究者だと思っている。フランク曰く、アメリカで二番目のプルースト研究者に教え子のゲイの恋人を取られて、暴言を吐き、その恋敵が立派な賞を獲ったことで自殺未遂を起こす。

ドウェーン
リチャードとシェリルの15歳の息子。テストパイロットを目指し、願掛けをして誰とも口を利かないことにしている。ニーチェ大好き。人間が大嫌い。

オリーヴ
ミスコンに出たい少女。でもぽっちゃり。殺伐とした家族の癒しの存在。

おじいちゃん
老人ホームでヘロインを吸って追い出され、仕方なく家族と一緒に暮らしている。女好きで、15歳の孫ドウェーンには「1人ではなく大勢の女と寝ろ」とアドバイスする。

あらすじ・考察
※ネタバレあり

ストーリーはなんてことはない。上記の登場人物が皆集まって、フォルクス・ワーゲンのバスに乗って、カリフォルニアで行われるオリーヴのミスコンに向かうロードムービー。途中、途中で家族の問題が表面化するよくあるタイプの映画。

ミスコンに向かう道中で起きたトラブル

リチャードのトラブル

「人間には2種類の人間がいる。勝ち組と負け組だ」が口癖。自分は負け組にもかかわらず、自己啓発プログラムを開発し、出版エージェントに売り込んだ。お金もつぎ込んだ。

エージェントに上手いこと言われて、すっかり自分が売れっ子になる気になっている。しかし結局、エージェントに「無名の君には誰も興味を持たない」と言われて切られてしまう。

ドウェーンのトラブル

テストパイロットになるのが夢だが、オリーヴのミスコンに行く途中の車の中で、オリーヴがたまたま彼に色弱テストをしたところ、緑が見えないことが発覚。パイロットになる夢が砕かれてしまう。

おじいちゃんのトラブル

ヘロイン中毒。オリーヴとは仲良し。旅の途中でフランクにエロ本を買って来させる。モーテルで孫娘オリーヴと2人きりの同室だったにもかかわらず、ヘロインを吸って、意識を失い、そのまま死亡。

病院の担当者に、遺体を別の州に異動するには許可証が必要だと言われる。許可証を待っていてはミスコンに間に合わないため、家族はこっそり遺体を病院から運び出して、遺体をトランクに積んでミスコン会場へ急ぐ。

フランクのトラブル

途中で立ち寄ったガソリンスタンドで自殺未遂の原因となった元恋人とその恋敵と出くわしてしまう。高級車でこれからスパに行くという2人と、妹の義父に下品なエロ本を買わされている自分。そして、エロ本を買っていることを元恋人に見られてしまい、せせら笑われてしまう。

車のトラブル

クラッチが故障。走り始めるときは坂からスタートするか、皆で押して飛び乗らないといけなくなる。またクラクションまで鳴り続ける故障が発生し、白バイに止められる。トランクの遺体が見つかるかと思いきや、なぜか警察官は遺体に乗せられていたエロ本に注意を取られ、遺体があることに気づかないという意味不明なストーリー。

ミスコンで起きたトラブル

ミスコンでオリーヴが披露するダンスはおじいちゃんが振り付けたもの。そのダンスをおじいちゃん以外の家族が誰も見ていない設定。そんなことあるか?

オリーヴが踊ったダンスはストリッパーのダンス。服を脱いだり、自分でお尻を叩いたり、腰を振ったり、下品極まりないダンス。

止めようとする主催者に父リチャードが飛び掛かり、フランク、ドウェーン、シェリルが舞台に上がって、オリーヴと共に家族で踊り狂う。会場シーン。ダンス前に彼ら家族と言葉を交わしたことがある人だけが拍手をしてくれた。

家族は警備員室に呼ばれるが、2度と娘をカリフォルニアのミスコンに出さないという約束で、家族を帰す。家族はまたワーゲンバスに乗り込んで、家路につく。

無理矢理なストーリーの連続で見てられない

リチャードが自分が負け組なのに勝ち組・負け組自己啓発セミナーを開いちゃう矛盾

お前のプログラムは全く役に立たないってことじゃん。でも、映画の中では誰もそれを言わない。しかも「負け組にならないためには~」と子供たちに説教しちゃう始末。

でも、そんなクソださい父親でも娘のことは愛しているんだよというストーリー。たまに子供を愛しているフリをすれば、即良い父親みたいになっちゃうんだよね、この手の映画は…

ドウェーンの色弱が判明するのが何故、今?

色弱テストなんて学校で年に1度は検査するだろう。アメリカではやらないなんてこともないだろうし。15歳になって初めて気づくとか無理がありすぎる。

じいさんの無責任と不適切

同じ部屋に他に大人はおらず、孫娘と2人きりなのに、ヘロインを吸って意識不明になって、結果死んでしまうと言うありえないほどの無責任じいさん。孫娘にミスコンで性的なダンスをさせたのも、このじいさんなのに、孫にとっては良いおじいちゃんのように描かれる。

オリーヴのダンスを祖父以外の誰も見ていない謎

オリーヴは地区予選で2位になって、1位の子が失格となって、繰り上げ当選でカリフォルニアで行われるのミスコンに出場したことになっている。でも、オリーヴがどんなダンスを踊るか誰も知らない。

じゃあ、予選で何を踊ったんだ?しかもストリッパーのようにバーンと引きちぎれる服になってるのに、それは誰が用意したんだ?

この滅茶苦茶な設定で「さあ感動しろ」とばかりに、家族が舞台で踊り狂うラストシーンを見させられる。

兄妹設定の不自然さ

シェリルの兄フランクはプルーストの研究者。しかし妹はパート?と思われる接客業をしている主婦。しかも夫はロクに働かず、怪しげな自己啓発商材を開発して、大金かけて売り込もうとしている男。兄妹であまりに違いすぎないか?

目の前にある死体に気づかない警察官

ラクションが鳴り続けているワーゲンを止め、車内を調べる警察官。目の前に誰が見ても明らかな死体があるのに、それに気づかない謎のシーン。しかも時期は夏。エアコンのない車で運んで、少しの異臭もしなかったと言うのか?

怪しい死体をあっさり回収する葬儀屋

シーツにくるまれて、車に積まれた怪しい死体をそのまま回収する葬儀屋。リチャードは「車の中で気づいてたら死んでた」と説明。死亡診断書もない遺体をあっさり回収する葬儀屋。

決め台詞はたぶんコレ

モーテルでオリーヴがおじいちゃんに「負け犬は嫌」と言うと、おじいちゃんは「負け犬とは負けるのが怖くて挑戦しない奴らのことだ」と言う。

いえいえ、挑戦して負けた人も負け犬ですよ。負けたのに負けを認めず「負け犬とは挑戦していない奴らのことだ!挑戦した俺らは負け犬じゃない!あいつらより俺はマシ!あいつらと俺は違う!」というその発言こそが負け犬そのものです。

良いセリフも少しある

ニーチェ好きで人間嫌いのドウェーンが「18歳まで何もしたくない」と言うと、伯父フランクがドウェーンに言ったセリフ。

「18歳まで怠けていたら、苦悩できなくなるぞ」

たしかに苦悩するにも知性と経験は必要。

個人的評価

映画の満足度★☆☆☆☆

感想・レビュー 

こういう矛盾だらけのストーリーを無理やり押し通そうとする映画って何なのだろうかと考えると、この手のタイプの映画を作る人はストーリーなんかどうでもよくて、観客に「うん!やっぱ家族っていいよね!」と言わしめることが目的なのだろうと捉えるほかない。

「やっぱ愛だよ、愛、家族愛」と。

父親の言動が矛盾していることも、おじいちゃんがク〇なことは関係ない。「愛してる」と言えば、またそう見える行動をたまにすれば、万事オーライ。

そして、特に父親リチャードがひどい。

レストランでオリーヴが注文を決められず、ウェイトレスに「ごめんなさい」と礼儀正しく一言言うと、「謝るのは弱いからだ」とおかしなことを言い出すわ、じいさんの遺体をそのまま病院から手続きせずに運び出してしまうとか、ミスコンで性的で見てられないようなダンスを披露してしまった娘を止めるでもなく、一緒にステージに出て踊ってしまうとか…感動にも笑いにもならない。

 それでも、やっぱり家族ってすばらしい?

いや、私が子供だったら、こんなバカで痛い父親は絶対嫌だよ。

勝ち組と負け組

勝ち組の人生はタスクが多い。それが面倒だから、勝ちに行こうとしない人もいる。それはそれで何の問題もなくて、その人の人生。

にもかかわらず、彼らを「挑戦しない奴らは負け組だ!」と断罪するのもおかしな話。そして、そう言ってる本人が負け組そのものという…おかしな構成。

勝ち組人生を送りたくて、勝負して負けた人を「負け組」とするのは結構だが、勝ち組人生を望んでいない人まで「負け組」と揶揄するのはいかがなものか。

試合をしたい人だけが勝手に試合をすればいいだけの話。自分が試合をしたい側の人間だと、世の中の全員が試合をしたいと思っていることが大前提になるのは何故なんだろう?

変な映画。

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リトル・ミス・サンシャイン
解説

サンダンスを始め、多くの国際映画祭で、スタンディング・オベーションの絶賛を受けたロードムービー。美少女コンテストのクィーンを夢見る少女とその個性的な家族が、黄色いワゴン車に乗ってコンテスト会場を目指す姿を描く。主人公の家族を演じるのは、『40歳の童貞男』のスティーヴ・カレル、『イン・ハー・シューズ』のトニ・コレットら。機能不全に陥った一家族が、旅を通して再生していくハートウォーミングな展開が見どころ。第19回東京国際映画祭で最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、観客賞など最多3部門を受賞した。

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