モン・パリ 1973年
再生時間:95分
個人的評価
映画の満足度★★★★☆
あらすじ・感想
※ネタバレあり
美容室を経営するイレーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)と自動車教習所を経営するマルコ(マルチェロ・マストロヤンニ)は1人の息子と暮らす事実婚カップル。
※実際にカトリーヌ・ドヌーヴとマルチェロ・マストロヤンニも長年、恋愛関係にありで、2人の間には女優のキアラ・マストロヤンニと言う娘もいる。
ある日、吐き気に襲われたマルコが医者に行くと、なんと妊娠していた!という、おふざけコメディ。コメディでありながら、もし男が妊娠したら、世界はこんな風に変わるかもという描写がとても面白いし、改めて男女差別問題を考える良いきっかけも与えてくれる映画。
髭面のマルチェロ・マストロヤンニが妊婦のように、辛そうに腰に手を当てて歩いている様子や、無性にいちごが食べたくなって…といちごを買ってきたり、妊娠を疑って医学事典を買って帰ったり。その医学事典が、人体の説明をするページが子供向けの仕掛け絵本みたいになっていて、これがまた素敵。
マルコの妊娠の原因は加工食品によるホルモン異常ということで、マルコを診察した教授はマルコの妊娠を学会で発表する。すると、マスコミがこぞって、マルコを取材し、イレーヌとマルコはテレビ番組に出演。また、マタニティーメーカーと男性用マタニティーのモデルとして専属契約をする。マタニティーファッションの男性版を紹介するシーンも、とてもかわいい。
イレーヌとマルコが息子にパパが妊娠したという話をするときの会話も良い。イレーヌは息子に「今度はパパが産むのよ」息子「普通は女が産むんでしょ」、マルコ「昔はね、今は違う」、息子「女性運動?」、イレーヌ「男も手伝う気になったのよ」。
またイレーヌがテレビ出演した時のセリフ「共働きだから、2番目は夫が産むのは当たり前」「これでやっと男女平等になった。大きな救いだわ」。
一方、議員は男性用ピルの開発と託児所のチェーン展開を急ぐよう議会で演説をする。
イレーヌの店の客たちは、男性が妊娠したことでどこでもピルが買えるようになり、中絶も好きに出来るようになる、工場を閉めるなら中絶を選ぶようになるわよと話す。
つまり、ピルや中絶が女性だけの問題とされている現在では、ピルを買う場所や、中絶するしないに大きな制限がかかっているが、これが男性も妊娠することになれば、これらの制限は一瞬にしてなくなるだろうということ。
お腹が大きくなったマルコは不安から、魚や鶏を産む夢を見るようになるが、最終的には妊娠は間違いだったと言う結末。
こういう軽いコメディータッチで、男女差別問題のあれこれをソフトに問題提起をするのはとてもスマート。
カトリーヌ・ドヌーヴのカラフルファッションもすごく可愛い。
個人的評価
映画の満足度★★★★☆
モン・パリ
解説
パリの下町モンパルナスを舞台に、男が妊娠するという“人類が月面を歩いて以来の最も重大な出来事”がまき起こすコメディ。「哀しみの終るとき」「ひきしお」に続くドヌーヴとマストロヤンニが共演する三作目。製作はレイモン・ダノン、監督・脚本は「ロバと王女」のジャック・ドゥミー、撮影はアンドレアス・ヴァインディング、音楽はミシェル・ルグランが各各担当。
キャスト・スタッフ
- カトリーヌ・ドヌーヴ
- マルチェロ・マストロヤンニ
- ミシュリーヌ・プレール
- マリサ・パヴァン
- クロード・メルキ
- ミレーユ・マチュー
- モーリス・ビロー
- 監督 ジャック・ドゥミ
ジャック・ドゥミ監督
作品一覧
1961年 ローラ
1962年 新・七つの大罪より「淫乱の罪」
1963年 天使の入り江
1964年 シェルブールの雨傘
1966年 ロシュフォールの恋人たち
1968年 モデル・ショップ
1970年 ロバと王女
1971年 ハメルンの笛吹き
1973年 モン・パリ
1978年 ベルサイユのばら
1982年 都会の一部屋
1985年 パーキング
1988年 想い出のマルセイユ