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【映画のあらすじ l 解説 l 考察 l ネタバレ l 感想 l レビュー】

映画『ザ・サークル』はSNS依存とネット社会に警鐘を鳴らす映画。ラストが怖い【ネタバレあり】

ザ・サークル 2017年

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再生時間109分

登場人物

メイ:エマ・ワトソン
水道料金を請求する派遣の仕事から、巨大IT企業サークルに就職する。業務は中小の広告主の顧客対応。趣味はカヌー。父親は多発性硬化症で介護が必要。就職を機に実家を出て、社宅で暮らしている。

イーモン・ベイリー:トム・ハンクス
巨大IT企業サークルのCEO

タイ・ラフィート:ジョン・ボイエガ
サークルの創立者の1人だったが、今は経営陣とは距離を置いている。一般社員のようにして、サークルに在籍。エンジニア。

アニー・アラートン:カレン・ギラン
アニーの友人。メイにサークルの仕事を紹介したのもアニー。サークルの「重要な40人」の1人

マーサー:エラー・コルトレーン
メイの幼馴染。自然を愛する男。ネットに縛られる人生を拒否している。

あらすじ・考察
※ネタバレあり

巨大IT企業サークルに就職するメイ 
念願かなってサークルに就職したメイ。公園のような中庭があり、たくさんのアクティビティ、病院があり一つの街のようになっている巨大IT企業、サークル。初日に社内を案内され圧倒されるメイ。また広大な庭では夜、社員同士の親睦パーティーを開いたり、アーティストを呼んでライブを開いている。

メイの仕事は中小の広告主の顧客対応。チャットで顧客対応し、その良し悪し対応が即座に採点されるシステムが入っている。メイは高得点を目指して、業務に邁進する。

サークルで求められる社内コミュニケーション

サークルは社員同士のコミュニケーションを重視する会社。入社して1週間後、メイはSNSで自己アピールをしていないこと、また週末に社内アクティビティに参加しなかったことをコミュニケーション担当者に注意される。

夜のパーティ、週末のイベント参加は任意と言いながら、やんわりと強制されるメイ。そして、社内サークルでの活動を数値化したパーティランクというものがあることを教えられる。

 

サークルに飲み込まれるメイ

最初はプライベートにまで踏み込んでくる社風に疑問を持っていたメイだが、社内の制度で父親の多発性硬化症についてサポートを得られることを知り、会社のシステムに心から感謝するようになる。

社内でのコミュニケーション活動も積極的になったメイは、ある日、幼馴染のマーサが鹿の角で作ったシャンデリアをSNSで公開する。

すると、マーサの元に「鹿殺し」との批判が集まり(実際は殺していない)、脅迫メールが届くようになった。マーサは会社にやって来てメイに「君が悪気がなかったのはわかっている。でも僕を君の世界の一部にするのはやめてくれ」と言い、サークルの社員たちのネット依存について批判をする。

そして様子をスマホで撮影するサークルの社員たち。マーサは「バーイ」と言って立ち去る。

メイのカヌー事故

モヤモヤしたメイは夜中にカヌー教室のカヌーをこっそり借りて、海に出る。しかし、波が荒くメイは海に落ちてしまい溺れそうになるが、どういうわけか、ヘリコプターがすぐにやって来た。

すぐにヘリコプターが来た理由はこう。サークルが開発した超小型ワイヤレスカメラ「シーチェンジ」が彼女がおぼれている映像をとらえ、たまたまそれを閲覧していたユーザーから通報が入り、彼女は難を逃れたのだった。

メイを洗脳するトップたち

サークルのCEOベイリーとCOOトムに呼び出されるメイ。ベイリーはメイが図らずも、世界中のあちこちに安価で設置できる超小型カメラ「シーチェンジ」の必要性を世界に訴えたと話す。

そして、ベイリーは嘘や隠し事が人を困らせる、最善の自分になれば可能性は無限。秘密をなくし、知識や情報を独占しなければ豊かな可能性を実現できるとメイに力説する。

メイの「ドリーム・フライデー」デビュー

サークルでは毎週金曜日にベイリーが大勢の社員の前でスピーチする「ドリーム・フライデー」というイベントを行っている。

ベイリーはそこにメイを登壇させ、インタビューという形式でメイのカヌー事故のことを話させる。

そしてメイは、一人で誰にも見られていないと悪いことをする、秘密は犯罪を可能にすると話す。またベイリーは自分の脳性まひの息子の話を出して、息子は他者の経験から世界を知るのだと言う。

ベイリーは「君が見たものを他人に見せないのは正しいことか?」とメイに問いかけ、メイは「間違っています」と答える。そして、自分勝手でした、私の経験を他の人々と共有するのを拒むのは、彼らから盗むのと同じ、人が経験できるすべてへのアクセスは基本的人権ですと答える。CEOベイリーに見事に洗脳されたメイ。

メイの生活を全世界に配信

そして、メイは仕事中もプライベートも超小型カメラ「シーチェンジ」を胸につけ、また部屋に設置された「シーチェンジ」で自らを撮影し、完全に自分を全世界に対して「透明化」することを宣言する。

自分の生活を公開し、他人に見られることで、社内でのコミュニケーションにも積極的に参加するようになるメイ。

メイは両親の家にもシーチェンジを設置し、両親とコミュニケーションするメイとして世界に配信しているのだが、ある時、アクシデントで両親のセックスシーンが全世界に公開されてしまう。これを機に、両親はシーチェンジによる世界配信を拒否。

メイの出世と暴走

シーチェンジで世界中の有名人となったメイは、サークルの重要な会議にも呼ばれるようになる。他人に見られることで仕事も活性化し、どんどん調子に乗るメイ。

思考もどんどんサークルに影響されて行き、社内の幹部があつまる重要会議で、投票年齢の全国民にサークル社のSNS登録を義務づけることを提案する。税金や社会保険の支払いが義務化されているように、投票も義務化すればいいと。そしてそれは、瞬時に国民の民意を把握できる、本当の民主主義だと主張する。

更にエスカレートするメイ

実際にこのプロジェクトは動き始め、更にメイはエスカレートする。ある時、メイは「ドリーム・フライデー」でサークル社のSNSに登録しない人を社会組織に取り込まれたくない人、最悪の場合組織を破壊しようとする人と表現し、人探しをするシステム「ソウル・サーチ」を社員に向けプレゼンする。

ある脱獄犯をサンプルにして、彼女が10分程度で世界中のユーザーに発見され、逮捕される様子を映し、世界中に配信する。盛り上がる会場。

調子に乗った幹部はその場で一般人をユーザーに探させてみろとメイに指示する。

メイが会場に「誰か探してほしい人は?」と尋ねると、メイの友人で鹿のシャンデリアを作ったことで「鹿殺し」と脅迫されたマーサを探せとコールが起きる。メイの友人マーサはサークルでは悪人となっている。

CEOベイリーにも後押しされ、逃げられなくなったメイはマーサ探しを承諾する。そして「ソウル・サーチ」を使って、マーサの捜索を開始する。

何も知らず、山の中の小屋にいたマーサは突然、スマホを手にした一般人に追いかけられ、車で逃げる。マーサを追いかける車やバイク、ドローンに追われて、マーサは橋から転落して死亡する。

やっと目が覚めるメイ

マーサの事故のショックで3日間寝込んだメイ。目覚めたメイは友人アニーに電話をする。アニーは仕事のストレスから解放されるために故郷スコットランドにいた。

アニーは「ベイリーもトムもマーサのことなんて何とも思わないわよ。私に規則を覆させ、多くの法律違反をしていた」と話す。

久しぶりに出社したメイはベイリーとトムに呼ばれ、今後は自分がやりたいプロジェクトにかかわるだけでよいとし、またドリーム・フライデーに登壇してほしいと頼む。

一方で、シーチェンジカメラをつけていないメイに社内の人は冷たい視線を向ける。

以前、社内のパーティで知り合った創立者の1人、今では一般社員として自分のやりたいプロジェクトだけにかかわっているタイ・フィールド(ジョン・ボイエガ)はメイの良き相談相手。

エンジニア出身のタイはベイリーとトムの悪事について調べており「想像以上だった」「君が再びカメラをつければ世界中の人が耳を傾ける」とメイに言う。

メイの反撃

メイは再びシーチェンジを胸につけ、ドリーム・フライデーに登壇し、CEOベイリーとCOOトムをステージに呼ぶ。そしてデジタル業界の偽善について話し始める。

リーダーたちはすべてをクラウドに上げようと言いながら、本人たちはそうしない、手本を示してもらいましょうと言って、彼らの胸にシーチェンジを取り付ける。彼らの言う徹底的なオープン性と途切れないつながりを求めて。

また、タイはベイリーとトムのすべての公式および裏アカウントのメールや重要書類を全てクラウドにアップし、全世界からアクセスできるようにした。

「今が変わる時よ、ここを作り直すの」と言い残し、ステージを去るメイ。

最後が怖い

場所はアニーのいるスコットランド?でカヌーをしているメイの映像になり、そこへ2台のドローンが飛んできてメイを撮影し、メイはドローンに向かって「ハーイ!」と感じよく微笑む。遠くへ逃げても、サークル社で自分がかかわった人探しシステム「ソウル・サーチ」を使って、今度は自分が誰かに追われてしまっているというオチ。

この映画が伝えたかったこと
※個人的解釈

任意参加という名の強制。会社による新しい形のプライベートの支配

コミュニケーションと言う名のもとにお互いを監視させる企業幹部

社員を餌で釣り宗教化する巨大IT企業

リーダーたちは耳障りの良い言葉で大衆を支配し、富を得る

「いいね」をもらうことに縛られ、エスカレートする庶民たち

ネット社会においてプライバシーは既に失われた

一度、ネットで有名人になってしまうとどこへ行ってもその過去は消せない

個人的評価

映画の満足度★★★☆☆

感想・レビュー

 サークルの悪質なCEO役にトム・ハンクスを起用したのがナイスキャスティング。いい人顔だが、裏では他人をコントロールしたい欲求に支配されている危ないIT業界のリーダー役が上手くはまっている。最後のオチが怖い映画。

社内のコミュニケーション担当者がメイのところにやって来て、社内活動に参加しろと注意するシーンと、ベイリーとトムがメイを洗脳するシーンが特に不気味。でもIT企業では非常によくありそうな話。

IT企業にありがちな「みんなで仲良くやろうぜ」感って何なんだろうなと考えると、もともと陰キャなコミュニケーション弱者たちが大人になって、会社で他人とコミュニケーションを取るために、社内活動を義務化(もちろん表向きは任意)し、ああいう気持ち悪い風潮を作っているように思えてならない。そして、そんな自分たちをカッコいいとさえ思っていそうなところも嫌。

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ザ・サークル
解説

美女と野獣』などのエマ・ワトソントム・ハンクスと共演した、巨大なソーシャル・ネットワーキング・サービスがもたらす脅威を描くサスペンス。SNS企業に就職し、自らの24時間を公開することで世界中から注目されるヒロインを通して、想像もしなかった事態を映し出す。監督を『人生はローリングストーン』などのジェームズ・ポンソルトが務める。ジョン・ボイエガ、カレン・ギラン、エラー・コルトレーンビル・パクストンらが共演。

解説・あらすじ - ザ・サークル - 作品 - Yahoo!映画

ザ・サークル
公式サイト

映画『ザ・サークル』公式サイト

キャスト・スタッフ

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