サンドラの週末 2014年
再生時間:95分
サンドラの週末について
カンヌ国際映画祭パルムドールを2度受賞したベルギーのジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ兄弟による社会派ドラマ。従業員のボーナス支給のため上司から解雇を言い渡された女性が自身の解雇撤回のため奮闘する姿を描き、数多くの映画祭で話題となった。主演は『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』などのオスカー女優マリオン・コティヤール、ダルデンヌ兄弟作品常連のファブリツィオ・ロンジョーネやオリヴィエ・グルメらが共演
キャスト・スタッフ
- (サンドラ)マリオン・コティヤール
- (マニュ)ファブリツィオ・ロンジョーネ
- (アンヌ)クリステル・コルニル
- (ジャン=マルク)オリヴィエ・グルメ
- (ジュリエット)カトリーヌ・サレ
- (エステル)ピリ・グロイン
- 監督 ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
ダルデンヌ兄弟監督
作品一覧
1992年 あなたを想う
1996年 イゴールの約束
1999年 ロゼッタ
2002年 息子のまなざし
2005年 ある子供
2007年 暗闇
2008年 ロルナの祈り
2011年 少年と自転車
2014年 サンドラの週末
2016年 午後8時の訪問者
2019年 その手に触れるまで
サンドラの週末
あらすじ
サンドラは飲食店で働く夫のマニュとふたりの小さな子どもとともに暮らし、ソーラーパネル工場で働いている。しかし、体調不良からしばらく仕事を休職していた。ようやく復職できることになった矢先、ある金曜日にサンドラは突然に解雇を言い渡される。
社員たちにボーナスを支給するためにはひとり解雇する必要がある、というのだ。ようやくマイホームを手に入れ、夫とともに働いて家族を養おうとしていた矢先の解雇。しかし、同僚のとりなしで週明けの月曜日に16人の同僚たちによる投票を行い、ボーナスを諦めてサンドラを選ぶ者が過半数を超えれば仕事を続けられることになる。
ともに働く仲間をとるか、ボーナスを取るか、シビアな選択……。その週末、サンドラは家族に支えられながら、同僚たちを説得して回る。
会社はアジアが勢力を伸ばしている世界情勢の中で余裕はなく、サンドラが休職している間に16人で仕事が回ることを実感した以上、なにかを削らなければ17人雇うことはできない、と言う。ある者は、サンドラ同様に妻が失業し、そのボーナスがなければ自分たちも生活ができない、と言う。ある者は仕事で得る賃金だけでは足らず、休日さえも別の仕事をしていた。ある者はサンドラを裏切るような形になっていたことに罪悪感を持っていた。ある者は家族とサンドラの間に挟まれ、悩んでいた。
この町で転職しようにも仕事はほとんどない。やっとありついた仕事を簡単に手放すことは難しい。仕事を続けること、そしてボーナスが如何に重要か誰もが知っている。
それでも、説得するしかない、とサンドラを励ますマニュ。マニュは“生活のため”だけでなく、自分を“必要のない人間”だと蔑むサンドラのために、サンドラ自身が生きる自信を取り戻すために必死でサンドラを支える。
「ボーナスを諦めてほしい」と口にすることは簡単ではない。まして、休職していたあとの後ろめたさもある。そして、そこまでして会社に残れたところで仕事を続けられるのか、と苦しむサンドラ。
ストーリーと解説
※ネタバレあり
うつ病で休職しており、来週からやっと復帰しようと思ったら解雇されてしまったサンドラ(マリオン・コティヤール)。夫の収入だけでは家賃が払えないため、どうしてもサンドラに働かせたい夫マニュ(ファブリツィオ・ロンジョーネ)。
会社ではサンドラの同僚に対し、サンドラの雇用を守るか、ボーナス1000ユーロを得るかを選べとありえない投票が行われており、16人中14人がボーナスを選んだという。そこに嫌なヤツである主任の意図が働いたと聞いたサンドラは社長に掛け合い、月曜日に再投票を行うことを了承させる。そして、夫マニュに尻を叩かれながら、サンドラは同僚の家を周り、ボーナスを諦めて自分の雇用を守る方に投票してほしいと頼んで歩く。
いやいや、交渉する相手が違うだろうよ。そもそも、自分のボーナスか同僚の雇用継続かどっちか選べ!なんてことを会社がやること自体がおかしいのだから、交渉すべきは同僚でなく社長。主任はクソっぽいが、社長は話せばわかるタイプなのに、週末にサンドラは各家庭を回り「ボーナスは諦めて、私に投票して」とサンドラと同様、生活が楽ではない同僚たちに頼んで歩くのである。もう、何じゃこりゃ。
で、半分近く協力者が現れたところで、うつ病サンドラは薬を一箱飲んで自殺未遂をする。おいおい、協力者の気持ちはどうなるんだよ…。しかし、飲んですぐに夫に白状して、サンドラは救急車で病院に運ばれ事なきを得る。
翌月曜日の投票の日、結果は8対8、不明1でサンドラが解雇されることに。協力してくれた同僚たちにお礼を言って、会社を去ろうとするサンドラを社長が呼び止める。そこで社長は「社員同士を争わせることはしたくない。ボーナスも出すし、雇用も守る。今、臨時雇用している人を今の契約終了時に切るから、そこが空いたら復職しないか」とサンドラに打診するが、サンドラは「誰かをクビにするならお断りします」と言って会社を去る。
個人的評価
映画の満足度☆☆☆☆☆(星ゼロ)
感想・レビュー
うつ病で休職していて、復職しようとしたらクビ。「みんな、ボーナスは諦めて、私の雇用を守って」と同僚に頼んで歩くとか…よく出来るな。病気を理由に解雇は労働基準法的には問題あるから、社長に抗議すべきこと。それをせずに、同僚に痛み分けを交渉して歩くって、バカだし図々しい。 まあ、本人がそうしたいと言うより、実際のところ、薄給の夫が公営住宅に戻るのが嫌でサンドラに無理矢理やらせているんだけど、それにしてもこの夫婦、何だかな…
とはいえ、確かにうつ病患者の中には確かにこういう人いる。「私可哀そう。こんな可哀そうな私に皆が協力すべき」という発想。作品中でも協力してくれた人たちは皆優しいし、まんまと巻き込まれている。監督は超自己中タイプのうつ病の本性を描きたかったのだろうか。この映画は壮大な嫌味だったとか?