われらが背きし者 2016年
再生時間:107分
われらが背きし者
解説
「裏切りのサーカス」の原作などで知られ、元MI6(イギリス秘密情報部)という経歴を持つ作家ジョン・ル・カレの同名スパイ小説を、ユアン・マクレガー主演で映画化。イギリス人大学教授ペリーと妻のゲイルは、モロッコで休暇中にロシアンマフィアのディマと偶然知り合う。ディマから組織のマネーロンダリングの情報を聞いたペリー夫妻は、1つのUSBメモリをMI6に渡してほしいとディマに懇願され、突然の依頼に困惑するが、ディマと彼の家族の命が狙われていると知り、その依頼を仕方なく引き受けてしまう。それをきっかけに、ペリー夫妻は世界を股にかけた危険な亡命劇に巻き込まれていく。主人公ペリー役をマクレガー、ディマ役に「ドラゴン・タトゥーの女」のステラン・スカルスガルドがそれぞれ演じるほか、ダミアン・ルイス、ナオミ・ハリスが脇を固める。
われらが背きし者
公式サイト
https://wareragasomukishimono-movie.jp/
キャスト・スタッフ
- (ペリー)ユアン・マクレガー
- (ディマ)ステラン・スカルスガルド
- (ヘクター)ダミアン・ルイス
- (ゲイル)ナオミ・ハリス
- (オーブリー)ジェレミー・ノーサム
- 監督 スザンナ・ホワイト
- 原作 ジョン・ル・カレ
個人的評価
映画の満足度★★☆☆☆
感想・レビュー
※ネタバレあり
原作者のジョン・ル・カレ自身が、元MI6で訓練を受けたこともある外交官。しかし、映画のストーリー自体はあまり面白くはない。
マフィアの口座を管理していたロシアのマフィアが2代目のトップに殺されそうになり、イギリスの情報機関MI6に情報をタレ込むのと引き換えに亡命させてくれという話。
そしてそれをMI6の下っ端が上司の許可を得ずに突っ走って、作戦を決行し、当のマフィアはイギリスの大物政治家の指示で殺されてしまったが、残った家族はどうにかロンドンに亡命。殺されたマフィアが奥さんに託していた銃の中から、MI6が欲しがっていた情報が出て来て、マフィアに関わって私腹を肥やしていたイギリスの大物たちも皆失脚したよと言う流れ。
「なんで急にこのシーンになった?」となることが多くて、ストンと落ちてこない映画。展開が唐突すぎるし、「よくそれでお前納得したな」と思うことも多々。原作を本で読むと面白いのかもしれないけど、映画としてはイマイチ。
登場人物
ペリー(ユアン・マクレガー)
大学教授。ロンドン在住。
ゲイル(ナオミ・ハリス)
ペリーの妻。弁護士。ロンドン在住。
ディマ(ステラン・スカルスガルド)
ロシアン・マフィア。ロシアのマフィア「ヴォーリー」の口座を統括している。
プリンス(ニコライ・ペトロフ)
「ヴォーリー」の2代目。ロシア政府と取引し、政府との結びつき、仲間内で大儲けしている。先代プリンスの頃からの仲間である、ディマの弟分ミーシャを殺害。金の流れを知っているディマも殺害しようとしている。
ヘクター(ダミアン・ルイス)
イギリスの情報機関MI6
ロングリッグ(ジェレミー・ノーサム)
元MI6。現在、下院議員。
あらすじ・考察
※ネタバレあり
ペリーとディマの出会い
妻ゲイルと夫婦関係修復のためにモロッコに旅行にやって来た大学教授のペリー。高級レストランで食事をしていたが、弁護士のゲイルは仕事の電話が入り、先に帰ってしまう。
ペリーのすぐ近くのテーブルで仲間と飲んでいたロシアン・マフィアのディマはペリーを自分のテーブルに呼び、2人は一緒に飲むことに。
そして、翌日のディマの娘の誕生日パーティーに呼ばれたペリー。そこでディマはペリーに、自分は仲間のロシアン・マフィアに命を狙われていると話し、ロンドンに着いたらイギリスの情報機関MI6に渡してほしいと言って、ペリーにUSBを渡す。ディマの家族が狙われていることを気の毒に思ったペリーはそれを承諾する。
ロンドンの空港にて
ディマから預かったUSBをMI6のヘクターに渡すペリー。ペリーはUSBのことを妻ゲイリーには秘密にしていたが、ここでバレてしまう。
プリンスと ロングリッグの関係
ディマから預かったUSBを見て、ロシアのマフィア「ヴォーリー」のトップ、プリンスが現下院議員で元MI6の ロングリッグとロンドンで会うことを知ったヘクターは、2人が会うサッカースタジアムに捜査員を張り込ませ、2人が接触している様子を隠し撮りをする。
そして、その映像をMI6の上司に見せ、プリンスが2日前にキプロスに所有しているアリーナ銀行をロンドン開行する申請をしており、それが莫大なロシアン・マフィアの資金洗浄に利用されること、そしてその申請の保証人として、 ロングリッグが集めた著名な政治家、法律家、銀行家が名を連ねていることを告げる。
情報源であるディマの希望は彼と家族のロンドンへの亡命。ヘクターはディマと取引をして、 ロングリッグの悪事を暴こうと上司マトロックに話すが、マトロックはこれを拒否する。
理由としてはロシアのマフィアの情報で ロングリッグを捜査することはできないと言い、この件から手を引くようにヘクターに指示をする。
ヘクターとロングリッグの因縁
ヘクターは ロングリッグがMI6にいた時に彼と揉めたことがある。ロングリッグはその仕返しにヘクターの息子が麻薬を売っていることを警察にタレ込み、ヘクターの息子は刑務所に。このことで個人的に ロングリッグに恨みがあったヘクターは、どうしても ロングリッグの捜査をしたかったため、部下のルークにマトロックからGoが出た嘘をつき、作戦を開始する。
なぜか巻き込まれる民間人ペリーとゲイル
ディマと連絡を取ったヘクターは、ディマがペリーも同席しないと交渉に応じないと言っていると言い、ペリーに作戦に参加するよう説得する。
翌週、ベルンでディマはヴォーリーの重要な口座をプリンスに譲渡することになっており、その譲渡後にディマは消されるだろうとヘクターはペリーとゲイルに話す。結局、ペリーとゲイルは作戦に参加することに。
パリでディマと接触
月曜日にディマはプリンスらとパリのファッションショーに行くことになっている。そこで偶然の再会を装って、ペリーとディマが接触。ディマが指定した場所でMI6とディマが落ちあうことに。
ディマの行動はヴォーリーの手下たちに常に見張られているため、ペリーとディマは一緒にテニスをする約束をして、テニスコートに併設されたマッサージ室でMI6とディマは落ち合った。
ディマの要求
ディマはアリーナ銀行開行の申請の保証人になっている大物たちのリストが入ったUSBをヘクターに渡す。そして、ベルンでの口座譲渡後に彼ら全員の口座番号をMI6に渡すと言う。その見返りにディマは24時間以内に家族を保護するようヘクターに要求した。
しかし、ヘクターは家族の保護は口座番号を渡してからだとこれを拒否。ディマは水曜日に行われるベルンでの口座譲渡の後でないと口座番号は分からないと言う。ディマは口座譲渡の手続きの後、ホテルでパーティーがあることをヘクターたちに伝え、その場を立ち去る。
ヘクターのウソがばれる
ヘクターの部下ルークはこの作戦が上司マトロックの許可が得られていないことを知る。ヘクターは口座番号さえ入手できれば、本部も話を聞くと彼を説得する。
そして、そこへやって来たペリーとゲイルも実はこの作戦は上の許可を得ておらず、この作戦に参加しているMI6のメンバーがたった3人だったことを知る。
ベルンにて
ディマがプリンスに重要口座を譲渡する手続きを行う。署名を終え、数字を瞬時に記憶できる特殊能力のあるディマが10名以上の口座番号を記憶する。
プリンスは親から譲り受けた銀の銃をディマにプレゼントする。これはディマの弟分ミーシャを殺害したときと同じパターン。信頼の証のように見せて、あとで隙を見てディマを殺害するつもりのプリンス。ディマは箱から銀の銃を取り出し、銃だけをポケットに入れて席を立つ。
ディマはトイレにまでついてくるプリンスの手下を撒き、ホテルのバックヤードで手下1人と一騎打ちになる。そこへペリーが駆けつけ、ディマを空港へと連れていく。
同じ頃、ディマの妻と子供たちはアインシュタイン・ミュージアムに遊びに行っている。これもMI6の作戦。隙を見て、ゲイルが子供たちを準備していたトラックに乗せ、ディマの妻は「子供たちがいなくなった」と芝居を打って、プリンスの手下の見張りを遠ざけ、妻と子供たちはトラックに乗り込んで空港へと向かった。
チャーター機が待つ空港で、ディマと家族たち、ペリーとゲイル、MI6のメンバーが落ちあう。飛行機に乗ろうとしたところで、ヘクターの電話がにマトロックから電話が入り、 ロングリッグが内務省に圧力をかけ、ディマ一家の入国を拒否していると伝える。
ヘクターはロンドンに戻り、MI6の他2人とヘンリー、ゲイル、ディマ一家はMI6の隠れ家でひとまず身を隠すことに。
ロンドンにて
マトロックはヘクターに明日、長官との会議があるから、その時にディマが提出する口座番号の重要性を伝えろと話す。翌日、ヘクターは長官にマフィアによる血に染まった金がロンドンでマネーロンダリングされようとしていると熱く訴える。
フレンチアルプスの隠れ家にて
ディマの長女ナターシャはプリンスの手下アンドレイと付き合っていた。ナターシャはアンドレイに電話をしてしまい、自分たちの居場所を伝えてしまう。
ロンドンにいるヘクターからペリーに電話が入る。内容は一足先にディマをロンドンに連れて行き、数日後に家族をロンドンに連れて行くとのこと。それをペリーがディマに伝えると、ディマはペリーとゲイルに家族を託すと話す。
ディマと娘ナターシャ
ナターシャはディマにアンドレイを愛していて、妊娠していると伝える。ナターシャを殴るディマ。そこへ犬が吠え始める。
ナターシャがアンドレイに居場所を伝えてしまったため、プリンスの手下が隠れ家にやって来てしまったのだった。
家の下にディマの家族、ペリーとゲイルが隠れる。上では銃声が聞こえる。ペリーが家の外に出るとMI6の1人が死亡しており、もう一人のMI6のルークも肩を撃たれていた。
ペリーが「ディマは?」と聞くと、最後の一人を追って山へ行ったとルークが答える。ペリーが銃を持って、山の中へ行くと、ディマがプリンスの手下の一人と格闘していた。ディマを撃とうとするプリンスの手下をペリーが撃つ。よろめいた手下をディマが地面にたたきつけて殺害。
ロンドンへ向かうディマ
翌日、迎えに来たヘリにMI6のルークとディマ、ペリーが乗ってロンドンに向かうことに。直前でディマはペリーにここに残れと言う。言われた通り、ヘリを見送るペリー。飛び立ったヘリはペリーの前で墜落した。
その後…
ロンドンでアリーナ銀行が開行されたニュース。 ロングリッグは貿易産業大臣に出世している。
ディマの死亡後、ディマの家族はヘクターの手配でロンドンで生活をしている。ペリーがヘクターの家を訪れ、ディマの妻から預かったと言う銀製の銃を渡す。
「こうなってしまって、すまなかった」とヘクターはペリーに詫びる。ペリーは「家族が無事なのが彼の望みだった」と答える。
ペリーが帰った後、ヘクターが銃の中を覗くと、丸まった小さな紙が出てきた。そこにはプリンスがロンドンでアリーナ銀行を開行するにあたり、プリンスから賄賂を受け取って便宜を図った大物たちの名前と口座番号が記されていた。