かごの中の瞳 2016年
再生時間:109分
かごの中の瞳について
『ネバーランド』『ワールド・ウォー Z』などのマーク・フォースター監督のサスペンス。美を追求する妻と、彼女に複雑な思いを抱く夫の姿を見つめる。ドラマシリーズ「ゴシップガール」や『ロスト・バケーション』などのブレイク・ライヴリー、『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』などのジェイソン・クラーク、ドラマシリーズ「マジックシティ 黒い楽園」などのダニー・ヒューストンらが出演。
公式サイト
キャスト・スタッフ
- (ジーナ)ブレイク・ライヴリー
- (ジェームズ)ジェイソン・クラーク
- (ヒューズ医師)ダニー・ヒューストン
- (ダニエル)ウェス・チャサム
- (カーラ)アナ・オライリー
- 監督 マーク・フォースター
マーク・フォースター監督
作品一覧
2001年 チョコレート
2004年 ネバーランド
2005年 スウェー★ニョ
2005年 ステイ
2006年 主人公は僕だった
2007年 君のためなら千回でも
2008年 007 慰めの報酬
2009年 X Forty
2011年 マシンガン・プリーチャー
2012年 ディス/コネクト
2013年 ワールド・ウォーZ
2016年 かごの中の瞳
2018年 プーと大人になった僕
かごの中の瞳
あらすじ
幼少時に交通事故で失明したジーナ(ブレイク・ライヴリー)は、保険会社勤務の夫ジェームズ(ジェイソン・クラーク)の献身的な支えによって、彼の赴任先のバンコクで安定した生活を送っていた。角膜手術に挑んだ彼女は片目の視力を取り戻すが、ジェームズがさえない風貌の中年男性であることに落胆する。ジーナは美しく着飾り、外の世界に飛び出していく。
ストーリーと解説
※ネタバレあり
ジーナの目
子供の頃、両親と乗っていた車で交通事故に遭い両目を失明したジーナ。両親はその事故で死亡。大人になった彼女は保険会社勤務の夫ジェームズの献身的なサポートにより、バンコクで安定した生活を送っていた。
ある日、右目の角膜移植を受けることができ、視力を取り戻したジーナ。初めて見る夫にやや失望するものの、新しい世界が開けたジーナはどんどん積極的になり、メイクをし、髪をブロンドに染め、それまでの地味な服を捨て、セクシーな服を着るようになる。
彼女が心変わりしてしまうのではないかと心配なジェームズは、彼女の目薬の中身をすり替え、彼女の目が再び見えなくなるように工作する。因みにジェームズは精子が異常に少なく、子供を望むのは難しいと診断されている。
ジーナとダニエル
ある日、ジーナが隣の家から引き取った犬ジンジャーを散歩していたところ、いつもプールで会っていたラテン系?のダニエルに出会い、2人は言葉を交わすようになる。
ある日、散歩途中でぐったりしてしまったジンジャーと困っているジーナを見つけたダニエルは、自分の家に来て犬を涼ませるようにすすめる。数週間後に故郷に帰るというダニエル。しかし、2人は成り行きで男女の関係に。罪悪感に苛まれるジーナ。家に帰ると夫ジェームズは、ジーナが欲しがっていた家を契約したよと彼女にサプライズをする。その後しばらくして、ジーナの妊娠が発覚。
ジーナの周りで起きる不審なこと
ジーナは隣の家の女の子にギターの弾き語りを教えているが、ある日、ジーナとその女の子が外出している間に、家に何者かが侵入し室内を荒らされ、愛犬ジンジャーがいなくなってしまう。
また、自分の目がどんどん悪くなっていくことに疑問を感じたジーナは主治医に目薬を調べてもらうよう依頼していたのだが、そんな中、主治医から目薬の中身に異常があったことを知らされる。
ジェームズとジーナの引っ越し
新しく購入した新居に引っ越すジェームズとジーナ。この時、ジーナは再び白杖をついて生活している。ジーナの目が見えなくなり、また元の生活に戻り、甲斐甲斐しくジーナの世話を焼くジェームズ。そして、前の家に残った荷物を取りに戻ろうとするジェームズに微妙な表情を見せるジーナ。
前の家に戻ったジェームズは、洗面所の下の棚にジーナが隠していた目薬を発見し、ジーナが自分がすり替えた目薬を使っていなかったことを知る。
ジンジャー失踪の真相
ジェームズが出かけた後、ジーナは1通の手紙を見つける。それはジンジャーを預かっている人からの手紙で、そこには「白人の男性が柵に犬を縛っていた。悲しすぎる。悪いが犬は返せない」と書かれており、ジンジャーの写真が同封してあった。ジェームズがジンジャーを捨てたことを知ったジーナは、そのまま何食わぬ顔で、元隣人の女の子と出演するギターの弾き語りの発表会へ向かう。
発表会にて
発表会で弾き語りをするジーナと少女。ジーナは舞台上から、夫ジェームズの顔をじっと見つめる。「私は見えているのよ。あなたのしたことは全部知ってるわ」とばかりに。たまらず、席を立つジェームズ。
ジェームズの最期
ジーナが家に帰ると、玄関の真ん中にジェームズが置いたジンジャーのことを知らせる手紙を見つける。泣きながら車を運転するジェームズ。対向車線に飛び出したところ、前からトラックが・・・
ジーナの出産
出産するジーナ。生まれてきた子供は髪が黒く、浅黒いラテン系の血が混じった子だった。ジェームズは男性不妊だったから、当たり前だけど。
個人的評価
映画の満足度★★★★☆
感想・レビュー
ジーナに執着するジェームズがとにかく気持ち悪い。目が見えなかった頃の ジーナに「私の世話ばかりでうんざりしない?」と聞かれ、「いや、特権だと思っている」と答えるジェームズ。怖すぎる。
また、目の見えないジーナをクラブに連れて行き、ジーナがトイレから戻って来たところにわざと現れずジーナを不安にさせてから登場し、ジーナにジェームズがいなければ生きられないと思わせようとしたり。
犬のジンジャーを嫌ったのも、自分以外のものにジーナの愛情が向くのが耐えられなかったから。
目が見えるようになり、性に奔放になり始めたジーナがジェームズの手を縛り、目隠しをしてプレイをしようとすると、ジェームズは「バカみたいだ」と本気で嫌がる。自分は支配する側であり、たとえプレイでも自分が支配される側になるのは我慢ならないのだろう。そして、これまた気持ち悪いことにジェームズは自分たち夫婦のセックスを隠し撮りしており、たまたま撮れてしまったこの時のジーナの冷めた表情を夜中に何度も見返して焦る。
体の不自由な妻への献身的なサポートは愛情だったと言えるのか?単なる粘着体質な男の支配欲だったのではなかろうか。
支配欲も、パワーバランスが不均衡である間は成立してしまうが、パワーバランスが逆転した時はあっと言う間に崩壊。その時、支配したい方がむき出しにするクズっぷりにゾッとする。